映画「海でなくてどこに」

Where but into the sea

וווהין סיידן אין ים


 マリア・カム(旧姓ウェイランド、1920-2019)とマーセル・ウェイランド(1927年生まれ)は、1939年9月、ナチスによるポーランド侵攻にともない、家族とともにポーランド、ウッチを捨て、未知への旅に出た。1年数か月のリトアニア滞在後、シベリア横断鉄道でウラジオストックへ、そこから日本の気船「天草丸」で敦賀に上陸。神戸で7カ月を過ごしたのち、中国、上海へ。最終的な安住の地は、オーストラリアのシドニー、メルボルンだった。第二次世界大戦中、離れ離れになった姉弟の肖像と、彼らの〈生存〉をかけたオデッセイが描き出される。
 監督・編集は「廻り神楽」の共同監督にして、ドキュメンタリー映画の精鋭、大澤未来。東日本大震災の大津波と第二次大戦期の難民をつなぐ鍵語(キーワード)は〈海〉だ。この映像作品は、マリアとマーセルの〈亡命〉物語を、研究者・菅野賢治の資料調査、実地調査により、実証的に、しかし優しく掘り下げることを目指す。

制作 菅野賢治/大澤未来/レイチェル・ウォルズ/宮森敬子/小畑美史/ヘニング・シュミート/関口清

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